どうせなら笑って過ごそうよ!

闘う杏子さんのお話 日常の中の笑いの数々 笑って過ごしても泣いて過ごしても同じ一生。それなら笑って過ごしたい!

エピ58 杏子の細胞活性化計画

杏子は仕事している時、あまり時計を見ない。
楽しいときには時計を見ないと言われているが、
杏子は仕事を楽しんでいるということなのだろうか?
それとも時間に追われていないからということなのだろうか?
杏子が一つだけ確信を持って言えることは、自分が
仕事を嫌だとは思っていないということだ。
積極的理由ではないけれど、この嫌ではないということの意味は大きいとのかもしれない。
なぜなら、これまでの杏子には、仕事に限らず、嫌だという気持ちでやることの90%はうまくいかなかった気がするからだ。
縁あって入社した会社で、一生懸命働いてお給料をいただくなんて、なんてありがたいことだろうというのが杏子の今の気持ちだ。
日々、ほんの些細な同僚とのやり取りで凹んだりすることはあっても、仕事に取り組んでいるうちに立ち直るものだ。
確かに、以前勤めていた旅行会社に比べて、外資系の航空会社の同僚は、誰一人とっても強烈な個性を放っている。
お互いにあんな変な奴見たことないと思っているんじゃないだろうか。
少なくとも杏子はそう思っている。
それでも今のところ嫌で逃げたいとは思ったことがない杏子だ。

進藤さんは朝から悶々としている。
なぜなら、営業に出られない。
しかも、予約を取ったり、データ入力まで自力でやらなければいけない。
上村さんが2日間の有給休暇を取っているのだ。
週末からタイに旅行に行っている。
上村さんはあのルックスだ。
きっと、現地人に溶け込んでいることだろう。
一方、進藤さんは根っからの営業マンで、一日中オフィスに閉じこもっていると
みるみる元気がなくなってくる。
30分に一回はため息をついているのが杏子のところまで聞こえてくる有様だ。
それでも、電話の応対や予約の受け付けはまだいい。
彼は、PCの操作にめっぽう弱い。
いまどきそこまでだめな人がいるとは思えないのだが、実際杏子のすぐそこにいるのだ。
「ねぇ、杏子ちゃんちょっとお願い!」
進藤さんが、椅子から立ち上がって杏子のほうを向き、拝んでいる。
仕方ないから、杏子がすぐに飛んでいった。
「どうしたんですか?」
「文字が入力できないんだよ。ほら、変なマークばっかり出てくる。」
そう言って、適当に打ち込んで見せてくれる進藤さん。
確かに、記号ばかりだ。
「進藤さん、これフォントのところなんかしちゃってますよ。直せば、ほら!」
今度はちゃんと文字が出てくる。
「ふぉんとにぃー。」
この状況でダジャレを言い放つとは…
杏子は面食らって、何の反応もできなかった。
杏子は新藤さんの顔を見ずして、自分のダジャレの出来にご満悦の進藤さんの表情を感じ取った。
なので、あえた見ないようにした。
そのまま、無視して、
「よかったです。では、これで。」
とさっさと自分の席に戻った。
自分の席について、PCに向かった途端、急に笑えてきた。
自分のダジャレを見事にスルーした杏子に何も声がかけられなかった進藤さんの凹み具合が想像出来たからだ。
その場で笑ってあげた方が良かったかしら?
杏子に若干の後悔の念があった。

そのうち、また、進藤さんの杏子へのSOSが出された。
「杏子ちゃーん!何度もごめーん。またPCが変なんだよ。お願いしますよ。」
すぐに、杏子は現場に駆け付ける。
「今度はどうしたんですか?」
「ほら、何しても動かないんだよ。」
「うーん。どうしてだろう。何かしました?」
「おらぁ、わかんねぇだ。」
急に村のお百姓さんみたいになる進藤さん。
杏子はいろいろ試した結果、進藤さんが何度もエンターキーを押したため、
固まってしまったのだと結論づけた。
「進藤さん、たまに反応が遅めの時がありますが、だからと言って、何度もエンターキー押すとPC自体が固まっちゃいますから。一回再起動しましょうか?」
「そっかぁ、おれPCに弱くってさ。情けないね。杏子ちゃんは女神だよ。」
こうして、いとも簡単に女神になった杏子。
「大丈夫ですよ。やるべきことは決まってますから。上村さんのいない時だけ、そこのところを押さえておけば。さっきみたいに、ダジャレでも言いながら、この2日間乗り切ってください。」
「やっぱり、さっきの聞いてたよね。俺、てっきり、通じなかったかと思ってさ。」
「笑って、甘やかしてはいけないと思って心を鬼にしました。しかもあんな安土桃山時代からありそうなダジャレ。ははっ!」
言った後に、その時代にPCは無いなと自分で自分に突っ込んだ杏子。
それでも進藤さんは、
「杏子ちゃんも面白いねー。」
と言ってくれた。
悪い気はしない杏子だった。

日々の仕事は、午前中の3時間すら、10分ぐらいに感じる状況だ。
そんな中にある、こんな小さな笑い。
杏子は以前どこかでナチュラルキラー細胞という言葉を聞いたことがある。
笑うことで 悪性の細胞をやっつけることができると言われているのだ。
笑うっていいじゃない!
笑う門には福来る。
もっといいじゃない!
笑は世界を救う。
これは杏子が創作した。
杏子も笑いで救われることが多いと思う。
笑い飛ばすという言葉なんて、まったくそのまんまじゃないか!
笑えば、ちょっとぐらいの問題は飛んでいくのだ。
どうせ同じ一日だったら、怒ったり、泣いたりするよりは、
笑ってすごしたいな。
これからは辛いことや 腹立たしいことがあっても、なるべく口角をあげて、
目じりにしわを作るようにしてみよう。

しかし、「ふぉんとにー?」はダジャレとしては下の下のランクだ。
進藤さんにはPCがだめな分、せめてダジャレはもっと洗練されてほしいと切に願う杏子だった。

じゃがりこダジャレかるたトランプ

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