どうせなら笑って過ごそうよ!

闘う杏子さんのお話 日常の中の笑いの数々 笑って過ごしても泣いて過ごしても同じ一生。それなら笑って過ごしたい!

エピ53  のび太1号 2号

タンさんの日本語は夜の世界でかなり上達しているらしい。
楽しく飲んで日本語習得というやつだ。
丸さんとの会話が たまに日本語だけで成り立っている時があるのだ。
ただし、杏子に対しては相変わらず英語だけで、厳しいことばかり言う。
杏子以外のスタッフとは、片言の日本語で冗談言ったりしているのに
杏子には常に毅然とした態度で接してくるのだ。
そこまで極端にしなくても…
杏子は思った。

タンさんは たまにカウンターの様子を見に行くことがある。
かおりさんが教えてくれたが、タンさんは香奈ちゃんにさえ
とても気を使っているそうだ。
杏子には、香奈ちゃんの定期的病欠の件を嬉しそうに話ていたのにだ。
本人に対しては何も言わない。
納得いかない話だ。
タンさんが、杏子以外の相手に怒っているところなんてほとんど見たことがない。
怒られないにしても、軽く嫌味を言われたりする杏子。

杏子は毎日タンさんに中国茶を淹れて出す。
タンさんに言われた通り、茶葉を一つまみ専用カップに入れる。
そこに熱湯を注ぎ、一回目のお湯は捨てる。
そしてもう一度熱湯を注ぐ。
それが美味しく淹れるコツなのだ。
あるとき、湯沸しポットのお湯がまだ沸騰していないのに、
一回目のお湯を注いで捨てた。
杏子はその時、急ぎで片付けたい件があって慌てていたのだ。
お湯がまだ沸騰していないことに気が付いていたが、お茶の味なんて
そんな大差はないだろうと思い、2回目のお湯だけ沸騰したのを入れて出した。
しばらくして、書類をタンさんのところに持っていった時、
「一回目の熱湯はちゃんと捨てた?」
といきなり言われた。
杏子はギクッとしたが、
「はい」
と答えた。
タンさんは納得いかない様子で、
「そうは思えないんだけどね。」
と返してきた。
杏子はもうそのまま突っ切るしかなかった。
「そのはずです。」
この辺で返事が曖昧になってくる。
「なんか味が違うんだよね。まぁいい。このメール返事しておいてくれる?
こんな内容で。」
とコピー用紙の裏紙に鉛筆で書いた下書きを渡された。
それを受け取り自分の席に戻る杏子。

ばれてる。
それにしても、どうして自分にばっかりあんなに小うるさいのか。
たまにいやになることがある。
きっと自分のことについて、丸さんにいつも不平不満を言ってるんじゃないか。
明らかに自分は優秀な秘書じゃない。
失敗も多い。
英語だってそんなにうまいわけじゃない。
誇れることといえば、打たれ強いことだろうか?
これだけ毎日お小言を食らっていれば、普通だったらもう夜めてるかもしれない。
でも、悔しいくらいにタンさんの指摘は正論なのだ。
必ず杏子に非があった。
一度たりとも、理不尽なことで怒られたことはなかった。
それがまた無念でならない。
しばらく悶々としたが、結局いつもの結論に至る杏子だった。

ある時、杏子はタンさんに依頼されて、旅行代理店の支店長とのランチの約束を入れた。
杏子が話したのは、支店長代理だった。
木曜日の12時半から直接予約したレストランで会うことになった。
場所も時間もしっかりと伝えたと杏子は思った。
ところが、当日レストランに着いたタンさんから電話がかかってきた。
相手の旅行代理店支店長の服部さんがまだ来てないけどということだった。
杏子は慌ててその旅行代理店に電話を入れた。
支店長代理が出た。
杏子が事情を話すと、
「あれ、あなた1時半って言ったじゃないですか?だからまだ ここにいますよ。」
「そんなはずないです。12時半とお話したと思いますよ。」
「あなたがそう言うんなら そういうことにしてあげます。
今から服部を現地に向かわせますから。」
と言われた。
杏子は悔しかった。
タンさんはこういうミスを一番嫌う。
相手の支店長代理は、何かほかのことをしながら電話で話していたようだったので、気になって、復唱して確認したはずだった。
それなのに、杏子のミスにされた感じだ。
またタンさんに怒られる。

タンさんは 2時半ごろオフィスに戻ってきた。
杏子の顔をみるなり、
「何があったのかなぁ。」
と聞いた。
杏子はそれまでの経緯をタンさんに話した。
杏子がしっかり確認したこと、なのに、支店長代理はさも杏子のミスのように言ったこと。
タンさんの表情がサッと変わったことに杏子は気が付いた。
タンさんは、そそくさと支社長室に戻って、どこかに電話していた。
しばらく話して電話を切った後、杏子を呼んだ。
「服部さんにちゃんと文句言っておいたから。」
え?
杏子は面食らった。
「僕は君がアポイントの電話してるのを聞いてた。しっかり12時半と言ってたよ。
それを君のミスにするなんて… 失礼な!」
杏子が何も言えずに突っ立っているとタンさんは続けた。
「ボスにとって秘書は自分の一部なんだよ。外部の人間が、君を非難するってことは僕を非難するってことだよ。逆に、僕は君を褒めることはしない。わかるだろう? 自分を褒めるのと一緒だからね。君はわかってくれてると思うけど。」
杏子はちょっと泣きそうになった。
今までタンさんに対して不満に思っていたことも恥ずかしく思った。
「サンキュー」
杏子は、それだけ言って支社長室を出た。
冷静に考えれば、タンさんに
「はい、よくできましたー!」
と言われる状況はなんか気持ち悪い。
杏子の性格からして、そんなこと言われたら、全然努力しない人間になりそうだった。
ソラリア航空に入社以来、怒られるたび成長している自分に気が付いた。
そもそも、杏子が怒られることをしなければいいのだが。

でもタンさんの分身は嫌だな。
自分がのび太になったようで 若干納得いかない杏子でもあった。

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