どうせなら笑って過ごそうよ!

闘う杏子さんのお話 日常の中の笑いの数々 笑って過ごしても泣いて過ごしても同じ一生。それなら笑って過ごしたい!

エピ48  真面目な珍味 その3 

一連の新人紹介の儀式が終わった後の午前中いっぱいは、名取さんは部下二人と打ち合わせ、皆川さんはかおりさんからの予約発券課の業務についてのブリーフィングの時間となった。
そして、ランチの時間になり、新人2人はタンさん、杏子とともにタンさんお気に入りのオフィスからさほど遠くない中華料理店へと向かった。
杏子は前にもその中華料理店に行った事があった。
結構な高級店だ。
お昼でも大体が前菜から出てくるコースメニューだった。
杏子がタンさんに指示されてテーブル席を予約しておいた。
メニューもお勧めコースと決められていた。
もちろん費用はタンさん持ちだ。
名取さんも皆川さんも英語は流暢だ。
名取さんは外資系銀行勤務だったので、とても丁寧な英語を話した。
皆川さんはどちらかといえば学生の延長的な日常会話の英語だった。
タンさんが出てくる料理について説明したり、新人2人がそれぞれ前職について話したりと食事は楽しく進んだ。
そしてデザートの時、衝撃的な事件が起こった。
デザートは2種類から選べるものだった。
タピオカココナツか杏仁豆腐のどちらか1つだ。
実は、そこでは杏仁豆腐がおいしくて有名なので、
「ここ杏仁豆腐がおすすめですよ。本当においしいです。」
と杏子は日本語で二人に教えてあげた。
すると名取さんが言った。
「僕、豆腐は大好きです。でもデザートで豆腐ってどうなんでしょうね?」
「はぁ」
杏子は、名取さんの言葉の背後を必死に読み取ろうとした。
これはジョークだろうか?
タンさんは最近ではなんとなく日本語が分かるようになっていた。
たぶん豆腐という言葉だけを拾って名取さんが何を言ったのか分かったのかもしれない。
「イッツ アーモンド ジェリー」
「イッツ ノット トーフ」
と言ってくれた。
名取さんは、
「オー アーモンド ジェリー  アイ ラブ イット」
とやっと理解したようだ。
まさか杏仁豆腐を豆腐料理と思うとは考えもしなかった。
確かに漢字で豆腐とメニューに書いてはあるけど。
でも杏仁豆腐なんて誰でも知ってるんじゃないのか?
杏子は衝撃を隠せなかった。
タンさんは人物分析が得意だ。
そして感がいい。
日本語だったのに、よくぞ名取さんの勘違いに気が付いたものだ。
しかし、名取さんはなんとインパクトのある人なのだろう。
なんでも真面目に答えてくれる。
真面目にいうので、笑ってはいけないと我慢するからさらに笑える。
そして、皆川さんは面接当日からの影の薄さが一段と際立って、存在自体忘れられそうに
なっていた。
明日からは、横に名取さんはいないからね。
もうちょっと存在感が出てくると思うよ。

心の中で皆川さんをいたわる杏子だった。

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