どうせなら笑って過ごそうよ!

闘う杏子さんのお話 日常の中の笑いの数々 笑って過ごしても泣いて過ごしても同じ一生。それなら笑って過ごしたい!

母の暴挙 at 国技館

数年前に五月場所を観に行った時のことだ。
ちょうどその頃、横綱だった朝青龍の素行の問題が大きくクローズアップされていた。
そして、彼を糾弾する急先鋒だったのが、脚本化であり作家でもある内舘牧子さんだった。
彼女は女性唯一の横綱審議委員だった。
任期を満了してお辞めになったのは確か2010年くらいだっと思う。
内舘さんは世間では「朝青龍の天敵」とまで呼ばれていた。
内舘さんは朝青龍横綱とすら認めていなかったのだ。

たぶんちょうどその頃だったと思う。
相撲観戦を終えて、父は煙草を吸いに喫煙場所へ、私と母はトイレへ行った。
そして、先に用を済ませた母は外で待っていた。
遅れて外に出た私は、多くの人に囲まれたちょっとオーラを発している女性を発見した。
なんと内舘牧子さんだった。
そしてその間近に立っている母を発見した。
母はトイレから遅れて出てきた私を見つけるなり言った。

「○○ちゃん!西舘さんだよ!」

私は固まった。

そんな私を見て聞こえていないと思ったのか、
さらに大きな声で、

「○○ちゃん!ほら、見て! 西舘さん!」

お母さん、思いっきり名前間違っている。

私は母の近くまで行って耳元で言った。
「お母さん、内舘さんだよ!声が大きいよ。本人に聞こえてる!」
またたく間にシュンとなった母。
もう遅い!
寛大な内舘さんは聞こえないふりをしてくれた。
いや、人に囲まれて話しかけられて本当に聞こえていなかったのではないかと思う。
そう思いたかった。

それにしても、テレビや雑誌で見る内舘さんはかなりのファニーフェイスでお世辞にも美しいとは思うことはなかった。
それが、実物はオーラとともに上品で雰囲気のある美しい人だった。
それなりのお年のはずなのにジーンズをスマートに着こなしていた。
そこだけはきっぱりと言っておかないと、あの時の母の暴挙の償いはできないと思った私です。