どうせなら笑って過ごそうよ!

闘う杏子さんのお話 日常の中の笑いの数々 笑って過ごしても泣いて過ごしても同じ一生。それなら笑って過ごしたい!

こたろうのこと

 

パンといっぴき

パンといっぴき

  • 作者: 桑原奈津子
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パンといっぴき 2

パンといっぴき 2

 

 こたろうのこと

 

こたろうは我が家に16年間いたシバ犬の雑種。

小さい段ボールに入って、おしっこまみれでやって来た。

 

母がどんなに頑張って毎日散歩に連れていっても、

毎日ご飯をあげても、

こたろうにとって、ご主人さまは父だった。

父が仕事から帰ってくる時、誰よりも先に気が付き、

よろこんでいたこたろう。

それはすごいよろこび方だった。

 

私が海外旅行から帰って来た時、

母が涙ぐみながら言った。

あなたが成田から「言ってきます!」と電話くれた時、

もうすでに、

外の犬小屋には首輪だけが残っていて、

こたろうはいなくなっていた…

 

どこを探しても見つからなかった。

1週間毎日探し続けた。

それでもどこにもいない。

いったいどこへ行ったのか…

 

もうおじいさんだったこたろう。

走れなくなっていたし、

食欲もなかったし、

カラスによくご飯を横取りされていた。

カラスが自分のご飯を食べているのに、

それを力なく見ていたこたろう。

 

いなくなる前の日、ふと見たら、

こたろうがずっと遠くの空を眺めてたと。

だから、きっと火星に行ったんだと思う。

母は言った。

 

そうやってあきらめようとしている母。

今でも似た感じの犬を見ると、

こたろうじゃないかと思ってしまう。

 

こたろうがじっと見上げる目は

ほんとうにかわいかったんだよ。